人気ブログランキング | 話題のタグを見る

インドでの日々を綴る


by ayako-ondes
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

2時間デリー一周

ドイツからの弦楽四重奏団が、今晩デリーにて演奏すると新聞で知りました。
インドでは、テレビも巷もインド音楽が主流で、西洋音楽はなかなか耳にすることがありません。ましてやライブとなればなおさらです。生の演奏、聴きたいな〜〜。

ババールさんに声をかけてみましたが、案の定、アフガニスタン公演が近づいている今では、頭はペルシャ語一色に染まっていて、せっかくだけど行けないという返事でした。でもババールさん、言う事がおもしろいんです。「Ayako、コンサートへ行ったら、彼らがどこに宿泊しているかこっそり聞き出してくれないか?」って。えーっ? なんでまた〜。  
ババールさんは、我々の制作中のCDに彼らの生演奏を入れたいからコンタクトを取りたいようなのです。それもアフガニスタンから帰ってきてからと言います。そんな長く滞在するかな〜?と思いつつも、どうやってそれを聞き出せばいいのか。もう、出たとこ勝負でいくしかないです。

結局、スタジオの録音エンジニア、グルプリートと一緒に行く事になりました。私が聞きたいのはもちろんのこと、生の弦楽器の音を彼にも聞いてもらいたいと私もババールさんも思ったからです。

グルプリートの仕事がすぐには終われず、約束の出発時間から45分遅れで、グルプリートの運転するバイクに二人乗りで会場のIIT(Indian Institute of Technology)へと向かいました。デリーの北から南へとひたすら南下します。会場へ着くまでちょうど1時間かかりました。こんな長時間デリーをバイクで行くのは初めてなので、途中何度も怖かったし、事故ったら身が危険だと何度も思い、シートの後ろをつかむ手もすべるくらい汗ばみました。
デリーは、運転が荒い、ルールを守らないドライバーが多いだけでなく、道路がところどころとってもラフであったり、スピードを弱めるための凸凹もたくさんあるので、逆にそれが危なっかしいのです。バイクが軽くジャンプすると、私のお尻も一瞬宙に浮く恰好になり、その時うかつに手を離したものなら振り落とされそうです。
他の人がどうやって乗っているのか観察してみると、私みたいに力んでつかまっている人はほとんどいなくて、慣れなのでしょうか? 更に、もうひとつ怖い事には、ターバンを巻いているシーク教徒と女性はヘルメットをかぶらなくても良いことになっていて、ターバンのグルプリート、そしてノーヘルの私という組み合わせ。身を守る物が何もない無防備な状態はやはり怖いです。

帰り道は暗くなるし、家に着くまで心配で、コンサートもゆったりと聞けなかったりして..などなど心配しつつも、夕方のデリーの町や道を頭の中の地図とともに、キョロキョロと追っていくことはとても楽しいものでした。しっかし、排気ガスの匂いは臭いですね...。

会場のIITはインドでも屈指の超一流大学であります。広大な敷地内はきれいに整備され、学生寮から教授家族の家々、食堂から床屋さん銀行..と何でも揃っています。それに樹々に花も多く、抜群の環境。一般市民も憩いの場としても利用しています。かなり行きたくなる雰囲気の場所です。

とっころが、会場のキャンパス周辺にはあまり人気がなく、我々が15分遅れで着いたからかな...なんて話しながら会場入り口へたどり着いたら、すでに降ろされた垂れ幕に『キャンセル』と書かれた紙が無造作にホチキス止めされているではありませんか! ゲ〜ッソリ。私たちのこの1時間のドライブは何だったのー。係の人も全くいないから、何だか寂しいね〜。通りがかりの人にどうしてキャンセルなのか聞いてみたら、演奏家の一人のお父様が亡くなられて...ということでした。私たちの後からも、遅れてやってくる人がポツポツありましたが、みんな一様に一瞬渋い顔になり、その後あきらめ顔になって引き返します。

誘った手前、運転までしてもらった手前、更に、あと1時間のドライブなどを考えると、グルプリートにも申し訳なかったなと思い、どこかで夕食しましょうか、私がおごります。とは言ってみたものの、グルプリートは小さな子供もいるし、最近多忙で帰りも遅く、また明日は日曜なのに休めないとも言っているから、むしろ一刻も早く帰りたいかもしれないなー。そんなことも確認がてら聞いてみたら、どうもやっぱり...という感じだったので、グルプリートの家まで最短距離で行ってもらって、私はそこからオートリキシャで帰る事にしました。

帰り道は、来た道(東側)とは別の西側を走りました。デリーを軽く一周です。
途中でかなり長い距離、森の中を抜けました。ここだけは、とっても気持ちいい〜〜。車も減り、排気ガスの匂いもなく、静かだし、森林の、山の香りがして、風がとても涼しいのです。我々が普段いかに空気を汚しているかがわかります。そして、森を抜けて大通りに出たかと思うと、即巨大マーケット街へと通じます。人も車も溢れています。スナック屋からの食べ物の匂いもしてきます。この変わりよう、そしてこの活気、そしてクラクション騒音。一瞬にして世界がコロコロと変わり、まるで映画を観ているような気分でした。こんなのもたまにはいいかな。「今晩はどこにお泊まりですか?」と聞かずに済んだことだし...。
by ayako-ondes | 2007-09-08 23:41 | Diary★日記