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インドでの日々を綴る


by ayako-ondes
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ババールさん、アフガニスタン公演へ向けて...

来週、ババールさん達はアフガニスタンの首都カブールで演奏会があります。
正確なアフガニスタンの位置を知らなかったので調べてみたら、インドの北西、お隣のパキスタンの更に北西に位置します。デリーからフライト1時間くらいで着くとのことです。

ババールさんをはじめ、同じく歌手の娘さんバニー、タブラ奏者、ハーモニウム奏者、オクトパッドと呼ばれるリズム打ち奏者ら、いつもババールさんと組んで演奏している演奏家も一緒です。先週くらいに公演が確定したため、ババールさんとバニーは現在準備に大わらわです。

インドの音楽は大きく北インド音楽(ヒンドゥスタン)と南インド音楽(カルナータカ)に分かれます。ババールさんたち、そしてデリー在住の音楽家はほとんどが北インド音楽の方で、またババールさんはガザル(もとはウルドゥー語の詩による歌)歌手ということもあり、その音楽は多分にパキスタンともつながります。更に、お隣のアフガニスタンへ行くと、ウルドゥー語以外にも、ペルシャ語も入ってきて、音楽もスーフィーと呼ばれるものがあるのだそうです。
今回の公演では、このスーフィーを何曲か歌うようリクエストされているそうで、目下ババールさんはペルシャ語の歌スーフィーを作って、覚えてで、他のことには余念がありません。普段使わない言葉は、発音も覚えるのもとっても難しいそうです。

そこで、デリーに住んでいるウルドゥーとペルシャ語の詩人(歌人)にババールさんとバニーは言葉と詩を習う事になり、今日、その詩人がスタジオを訪れました。お父様も、お祖父様も、代々詩人という方で、ペルシア語の新聞にくるまれた、お父様の自作自筆の詩の書かれた薄いペナペナなノートほか、数冊の本を持参されました。そして読み方の指導や実際に歌ってみせてくれたり...。詩人は、バニーが発音すると「そうだ、いいぞ、お嬢ちゃん」と一言一言に励ましの言葉を投げかけ、やっていることは難しそうですが、楽しいそうな雰囲気でした。
写真はお父様の自筆の詩を読んでいる詩人。そしてそのノートです。大きなきれいな色の指輪が気になりますね〜。
ババールさん、アフガニスタン公演へ向けて..._f0099915_17543696.jpg

ババールさん、アフガニスタン公演へ向けて..._f0099915_17474412.jpg


ヒンディー語とウルドゥー語は文字表記は全く異なりますが、発音に関しては類似する言葉もあります。そこには、現在のパキスタンに隣接するパンジャブ地方(インド)が、その昔、今のパキスタンと同じひとつの国であったという歴史背景も関与しているそうです。パキスタン人とインド人は顔も似ているらしいです。更に、パンジャブ地方では、以前はウルドゥーが使われていましたが、その後(約300年前)新たに独自のパンジャビ語が生まれたのだそうです。バニーのお祖父さんは、パンジャビ語は話せるけれど書けず、ウルドゥーで書いていたということです。

そのウルドゥー語ですが、ヒンディー語の祖先がサンスクリット語であるように、ウルドゥー語の祖先はペルシャ語とのこと。表記は同様ですが、ペルシャ語は今では古い言葉となり、使う人も減り、発音も難しいようです。言葉の流れやリズムは、私には、ウルドゥー語ともヒンディー語とも似ているように感じられましたが、舌が回らないような発音も多いし、なにせチンプンカンプン。

アジアの東の果ての日本と、アラブよりのインド。インドにいると、出身は?と聞かれます。だいたいは、韓国人か、中国人か、時にはマニプル(インドの一番東ミャンマーに隣接する)出身かと言われ、私の住む周りには日本人がいないからか、なかなか日本人ですか?とは言われません。インド人にはそのあたりの区別が難しいようです。どこで見分けるのかとも聞かれます。

顔かたちのみならず、言葉の歴史、国の歴史、そして更にそれぞれの宗教とも関連性もあって、アジアも何っとも広いな〜と感じ入った日でした。
by ayako-ondes | 2007-09-04 23:38 | Music★音楽