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インドでの日々を綴る


by ayako-ondes
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ニュースの音楽制作〜3日目〜

今日もババールさんは審査員の仕事が午前中に入っています。
なので、午前は、バニーとエンジニアのグルプリートとで、ニュースの音楽<バニー編>にかかります。

バニーはとても聞き分けのいい人で、昨日はちょっとした親子対決になってしまいましたが、今日は、雨のラーガではなく、ババールさんに言われたラーガを用いて、最初から作り直しました。効果音などはそのまま昨日のものを用いましたが、映像と合わせるこの手の音の選び方はやはりババールさんと違って若い世代の感覚です。

あと2小節で大枠ができるところで、私がその2小節をブラスの音で作る事になりました。いつも考える時間も与えられず、「じゃあ、録るね、ハイ弾いて!」となります。インド音楽は即興音楽なので、待った無しのこのテンポには時々ついていけないけれど、一か八かで、その場のノリでやってみます。ちょっと興奮します。

テイク。 ♩♪♬〜

ギョッ、ちょっと違ったかも…。一応まとまったけれど、チンドン屋のラッパみたいになってしまいました。もう一回やろうと言うと、二人はおもしろいからこれでいいと言います。え〜〜〜??? 半信半疑でしたが、 ここはインドだし、インド人がそう言うのならと、まずまずいいことにしました。

続いて、インド流フュージョンの旋律に和音をつけることになりました。正直、私は、ババールさんに天気予報の音楽だと言われた雨のラーガの方が雰囲気があって気に入っていました。新たに選んたこのラーガは、西洋音楽でいうとフラット系のハ短調に近いので、暗く重い感じがします。メロディーもちょっとだけドロンとした感じです。何とかどこかで明るい色調を出したいところです。それができるのは、最後の和音を思い切り明るくすることと、間に車輪が回るような映像とともに効果音だけで進む2小節の和音進行をおもいきり転調してネアカにすること、私にできることはそれくらいです。できる範囲でうまくいった感じです。特に、車輪が回る部分は浮き出してくるし、ここはみんながお気に入りの部分、そして和音が継続的についたことによって、音楽にまろやかなつながりができていい仕上がりです。やはりバニー組に入って作業をするのはやりやすいです。映像から読み取るシンボルが全員一致するし、あまりオーソドックスな路線を行きたがらないあたりがとてもワクワクしてきます。
しかし、ラッパの2小節が何度聞いても気になる〜

午後になり、ババールさん登場です。まずは、昨日、私とバニーとで手直しした<ババールさん編>の音楽を聞いてみました。すると、ラーガが間違っていると言われました。私とバニーが作ったのは、ラーガの中の構成音は全く同一なのですが、主音をインドの音階の主音でなく、西洋音楽の長調の主音で曲を終えたため、それがババールさんには不自然でおかしかったようです。私が作るとどうしても西洋音楽っぽくなるし、バニーもいろいろな曲を歌っているので、西洋音楽が混じってきても何ら不自然ではないようです。こういうところでも、インド音楽の伝統を維持してきたババールさんと、私たちの感覚の違いが出る結果となりました。

しかし、ババールさんは闘志メラメラで、実は新たな案を考えてきていて最初からやり直すつもりのようでした。今回は、以前録音した実演のタブラの音をそのままリズムの下地に用いて、その上にラーガを展開させたいようです。早速リズム作りが始まりました。タブラの演奏は超高度なリズムの上、ライブなので、リアル感が違います。リズムも早さも映像にぴったりと合わせ、一部、1拍分完全に音を抜くところがあり、とってもメリハリのある展開になりそうです。エンジニアのグルプリートも一安心し、私もグルプリートもやる気が出てきました。

リズムの下地がだいたい出来上がったところで、ババールさんは再び別のミーティングへ行かなくてはいけません。「Ayako、あとはベイラビーのラーガでメロディーを好きなように作っておいて」と言って出かけて行きました。ベイラビーのラーガは、公演時に必ずプログラムの最後の曲に使われるものです。以前に1曲習いましたが、映像を見て旋律や音楽を想像すると、とてもとても、私の頭の中にはインドの音階は流れてきません。映像はシャープでデジタルっぽく、スピーディーにいろいろな方向に飛び切り替わります。そのようなものと古典的なインド音階を結びつけることは全くできませんでした。なので、そのラーガと同じ構成音のイ長調で映像を見ながら好き勝手にメロディー部分を中心に大筋を作りました。ババールさんが気に入るかどうかでまたどうせ変わってくるだろうから、ここで更に手を入れるのはやめておいて、明日を待つ事にしました。
by ayako-ondes | 2007-08-03 23:31 | Music★音楽