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インドでの日々を綴る


by ayako-ondes
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ニュースの音楽制作〜2日目〜

夜中から雨が降り始めたので、早朝は、久々に気温が下がりました。こんな日はしっかり眠れます。昨夜は帰ったのも遅く、寝たのも遅かったので、遅くまで寝ていました。
そんな日に限って...朝の8時過ぎに電話が鳴りました。夢も途中で、ものすごく眠かったのですが電話に手が届き、出てみたらババールさんからでした。

「Good Morning! Ayako〜、邪魔して悪いけど、実は昨日作った音楽が気に入らなくて、よく眠れなかった。一晩ずっと考えて、こんな風にしたんだけど、午後にしかスタジオへ行けないから、午前中に変更しておいてくれないかな…。こんな感じ、最初のタララララ〜♪の後に、ダニサ、ニサレ、サレガ(インド式のドレミ...)、 そしてレサニ、サニダ、ニダパ...となって、その後はアグレッシブな感じでタタタタタタ〜♪、そこは好きなように作って...。それで、最初はタララララ〜で始まったよね?」と歌い出す。

     ・・・・・     ・・・・・     ・・・・・     

ババールさんは、エキサイティングしていると、いつも一度にたくさんのことを言うので周りは混乱するか、振り回されてしまいます。昨日がまさにそれで、みんなドッと疲れてしまいました。気持ちが先立っていたようで、それもわからないではないのですが、肝心なアイディアをまとめたり、映像を計算することに時間をかけずに、音楽を即作りだしてしまったので、土台がない家みたいに終いには直しようがなくなってしまいました。映像はすでに出来上がっている20秒の音楽なので、映像を読み取りながら音をデザインしていく必要があります。ババールさんの娘さんも、エンジニアのグルプリートも、そんないつものババールさんをよく知っているので、とても上手に対応しています。彼らは、ババールさん自身は、全く悪気は無く、真剣に取り組んでいることをよくわかっています。そして、私はババールさんが興奮してくればくるほど、冷静にならざるを得ず、どんどんクールな頭に切り替わっていきます。

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「ハロ〜、Ayako、聞いている?」
「Yes, Yes。(聞いているけど頭が回りません)。出だしは確かタララ〜ラララ〜 あら?(思ったような声になりません)  タララ〜ラララ〜♪で…」(高い音で始まる曲なので、頭に血が上ってきます。)
「そうかそうか、タララ〜ラララ〜♪ そしてダニダニサニサレサ...このワンフレーズだけだから覚えておいて…」と、電話の向こうでも一生懸命に歌ってくれます。
あー、ちょっと待って〜。眼鏡はどこだっけ? 私はド近眼なので、眼鏡なくては思考もボケてしまいます。それとペンと紙…。慌てて、ドレミでメモりました。

     ・・・・・     ・・・・・     ・・・・・

電話が終わって…あー、びっくり〜。私はとってもよく眠れた日だったのに、ババールさんは全然寝ていないだなんて。一日がこんな風に始まるとなると、また今日も昨日のようになっちゃうのかな〜?と忘れかけていた昨日のことを思い出しました。 

その後スタジオへ行く前にエンジニアのグルプリートに電話をしてみました。彼が、昨日の音をそのまま使って仕事を進めないように…。そしたら彼もババールさんから電話をもらったと言っていました。みんなに電話していたんですね。

さて、スタジオに着きました。バニーは、ババールさんの部屋は朝の5時になっても電気がついていたので、たぶん寝ないで考えていたと思うと言っています。私たち3人はババールさんのように焦ってはいません。ゆっくりとチャイーを一杯飲んでから、それでは…と誰が何を言うでなく始まりました。バニーに助けてもらいながら、ババールさんに言われたように直しを始めました。しかし、何となくみんなノリません。ババールさんの音楽は、抒情的すぎて、シャープでデジタルっぽい映像には全然合わないのです。最初から全てやり直したい気持ち。
「このババールさんの作り方は難しいよね。映像にも全然合わないし〜。バニー、作れない? あの時みたいに…。ババールさんの曲はさっさと終わらせて、新たに三人で作り直さない?」と言ってみたら、みんな大賛成。

さっさとババールさんの曲は仕上げて、3人で、映像を読み取りながら、少しずつ作っていきました。世代が近いからか好みが合います。手順はいいし、事がスムーズに運びます。その上、みんな、何か新しい感覚を取り入れてみたいので、意外な結果が出る事を楽しみながら試していくことができます。バニーは、インドの音階とインドの古典楽器シタールを使いながらも、フュージョン風に仕上げたいようで、みんなもそれに賛成です。…と、楽しくやっていたところへ、ババールさんがやってきました。ババールさんは、今週は、あるコンテストの審査員の仕事が入っていて午後にしかスタジオへ来れないのです。

取り組んでいる曲が違うので、ババールさんは最初状況を読めないような驚いた顔をしていました。しばらくしてからバニーが、「少しテンポをあげて、映像に合わせながら別なものも試しに作ってみている」ことを話すと、「ベリーグッド! いろいろ試しながらベストなものを作るのはとってもいいことだ」とババールさん。

そこで、まだ途中の今作っているものを聞いて見てもらいました。ババールさんは「映像にとっても合っていて素晴らしいけれど、使っているインドの音階(ラーガ)が、今の雨の時期のラーガで、それがとてもはっきりと音形に出ているので、これはニュースというよりむしろ天気予報用だ」と言います。

さすがにバニーもそこまでは考えていなかったようです。今が雨の時期で、また雨の時期には雨のラーガを演奏するので、自然とそれが出てきてしまったようです。ババールさんは、別なラーガにするように勧めます。そしてこれか、これはどうだと歌いながら、こんなメロディーはどうかと言ってきますが、またしても、私たちのイメージとピッタリきません。その上、やはりちょっと考え方に違いがあって、せっかく気持よく作っていたバニーとも討論となってしまいました。ババールさんは効果音的なものに頼るより音楽を第一に考えていて、それぞれが自分なりの考えがあるので、お互いが自分のやり方を主張し、ぶつかってしまいました。その結果、別々に作品を作ろうじゃないかということになりました。
ババールさんは、Ayakoも作って、全部で3つ作ろうとも言いましたが、3つも作っている時間はないし、実際に演奏するのは私になるので、私は二人の作品に協力するということにしました。

さてさて、親子対決となってしまったニュースの音楽。明日に持ち越しとなりました。
by ayako-ondes | 2007-08-02 23:07 | Music★音楽