"フルートのショパン"

金曜から今日まで カマニ・オーディトリウムにてShriram Shankarlal Music Festivalが開催されている。いずれの日も、トリをつとめるのはヴォーカルのPandit Jasraj、サントゥールのPandit Shiv Kumar Sharma、そしてバーンスリーのPandit Hariprasad Chaurasiaといった豪華なメンバー。彼らの演奏は夜9時半過ぎから始まり11時過ぎまで続く。

今日はバーンスリーのハリプラサド・チャウラシアの演奏を聴いた。バーンスリーは指穴がたったの6個の竹の横笛で、「フルートのショパン」と称されるこのチャウラシアの出現によって世界中に知れるようになった。CDでしか聴けないと思っていた演奏を、生で聴けるなんて信じられない気持ちである。
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写真はロビーの飾りである。おそらく塩で描かれているのだと思う。インド音楽の演奏会では花びらが床に敷かれていたり、ロウソクがきれいに灯されていたり、インドのテイストにアレンジされている場合が多い。そして、今回はステージ上がたくさんの樹々と赤白の花々で目一杯飾られていて、演奏者は森の中で演奏している風であった。よくここまでやったなと感心する。

バーンスリーの温かく柔らかい木の音色を聴いていると、とても気持ちよい。伴奏に低音のドローンが響き、またタブラやもう一つの打楽器も加わったが、基本的に曲をいかに作って、どのようにもっていくかなどはチャウラシアががっちりとコントロールしている。そして時々打楽器奏者にも見せ場を作らせ、遊ばせている。曲の作りは1曲1曲違って、最後までゆったりとしたまま展開する曲もあれば(これはあまりの気持ちの良さに寝てしまう)、何度も小分けにクライマックスの作られる曲もあったり、最初から最後に向かって長大なクライマックスを作る場合もあり、多彩であった。鋭い感性と卓越した技で、たった1本の竹で聴衆を魅了させる。
圧巻は最後のラーガ・ベーラヴィ。インド音楽を聴くと、どうしても西洋音楽と比較させて聴いてしまう。西洋音楽が曲に自在な伸び縮みがあるのに対して、インド音楽は基本的なテンポは一定のままで音の長さによってそれを調整する。西洋音楽は建物のように縦にも構築していくが、インド音楽は横へ横へと変化をつけながら展開していく。ところが、この最後のベーラヴィは、目くるめくリズムの展開と曲作りで、まるでバッハの曲を聴いているようだった。チャウラシアのように国際的な舞台で活躍している音楽家はインド音楽という枠を超えてオールマイティである。チャウラシアの公演は3月の初めにまた聴ける予定である。

このところ通い続けて来たコンサートもこれで一旦落ち着く。音楽を優先させてしまったので、残念ながら重なっていた演劇の公演に行けなかった。演劇もぜひ観てみたい。自己顕示力の強いインド人の演技はいかなるものなのか興味深い。前にも書いたが、これらのコンサートはどれも無料であった。大小の多数のスポンサーや政府からの協力、あるいは学校の行事として組まれてたり…。いつまでこのような無料の公演を継続できるのかはわからないけれど、本当にお金払わなくていいのかな?とまだ慣れない感じで客席へと向かってしまう。ただし演劇になると時々有料のものもある。

PS.本日の公演でチャウラシアの前に演奏した女性ヴォーカルのKoushiki Desikan(Kumar Gandharva style)。遠目には若くた。名前は全く知らなかったが、素晴らしい歌を聴かせて会場も相当盛り上がっていた。今後チェックすべき歌手として覚えておきたい。
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by ayako-ondes | 2007-02-18 23:59 | Music★音楽